空想画廊

ミステリアスな表紙絵が大変に魅力的な一冊。女子高を舞台に女の子たちが不思議で幻想的な出来事に巻き込まれてゆく物語です。夜の学校に来てはならない、というお約束をとりあえずブッチして超常現象に出くわし、祖母のおまじないと夜の学校の主とも言うべき人物に助けられて、というのが導入部。一冊完結、一話完結なつくりになってます。

著者はイラストレーターが本業らしい(詳しい背景は俺はよく知らない)ので、シナリオやマンガとしての見せ方はそこまで特筆すべきものはない。ただ、一つ一つの絵が大変に繊細なタッチで描かれているところは流石と言うしかない。儚げならがらも、どこか絶妙な気品さが漂う少女たちの立ち姿や表情、髪の流れがとても美しいです。

最後に。これはネタバレなんですが、絵を描くことは世界を造ることである、という世界観は俺は好きだなー。自己で完結せざるを得なかったが故に、自分だけの世界を造ることになってしまった、という皮肉は中々にたまらない。そして、物語の中で孤独を癒すのは何時だって例のアレです。

空想画廊 (電撃コミックス)

空想画廊 (電撃コミックス)