うたてめぐり

うたてめぐり

同一ブランド FLAT の作品シークレットゲームがアクションとシナリオで比較的バランスの取れた傑作だったので、本作も良さそうだということで、事前情報を特に調べずに買ってみた。相変わらずの女性キャラの無双が唸りを上げる点は素晴らしい。異能力バトルの描写は中々に熱が入っており、そこについては及第点といえる。ただ、シナリオのラストがやや消化不良気味なのが残念なところ。ハッピーエンドと言えなくもないけど、ちょっと後を引く終わり方なんですよね。シークレットゲームのようにスコーンとキレイに勧善懲悪で終わってくれるのを期待していたので、やや肩透かしでした。細かい点は色々惜しい点はあるものの、全体とみればそこそこの出来、といったところでしょうか。

気になる点は上げ始めれば割ときりが無い。リベカのシナリオ無いのかよ、とか、巴さんをフォローする個別シナリオとは言わないけどもうちょっと欲しかったなぁ、とか、ラストバトルがアッサリ終わっちゃうのとか。ラストバトルのところはなんで省略しちゃったのかなぁ、と勿体無さすら浮かびます。特に、カレン&リベカ VS 清十郎&夜狐はなぜサラッと流されてしまったのか。焔と琴子のペア戦もだけど、こちらはまだ個別ルートで決戦シーンがあるからいいとしても。皐月VS巴さんとかの個々のバトルシーンはソレナリに歯応えあるだけに、あのノリできちんと最後に全キャラの見せ場作って欲しかったなぁ、と思います。

アクション面でちょっと力を割いて欲しかったのは先に述べたとおり。次に設定とかそっち方面について。並行世界がうんぬんとか設定面はまぁなるほどおもしろいよね、ありがちなネタだけど、意図不明な捻りもないしストーリーもシンプルだし、そのあたりに不満は無い。だけど、ラストがいかん。あれだと、あの時間軸の二人は救われない解釈になっちゃうわけで。いやまぁ、あの余韻がいいんじゃん、という人も居るんだろうけどさ。俺的には、みんな幸せになりましためでたしめでたし、というのが好きなので。最後くらいは理屈とか伏線改修とかぶっちゃけてありうる可能性の全世界の二人はしあわせに終わりました、的な、思わず「ありえねぇ!」と叫んじゃうくらいハッピーエンドで締めて欲しかった。

そんなわけでシナリオ等設計面にはやや不満はある一方で、キャラクター方面に不満は無い。一部の脇役や悲劇担当要員を除くとほぼすべての女性陣がヒャッハーするのは予定調和なのが FLAT クオリティ。カレンのやたらと迸る漢前っぷりに惚れるし、リベカの火力偏重主義は狂ってるし、琴子の幼女が大剣振りまわすのはロマンだし、巴さんはクールなところが素敵だし。よって、メインヒロインの影が薄くなるのは致し方なし。まぁ……こればっかりはシークレットゲームもそうだったし…… FLAT なら仕方ないな。

個人的なヒットはカレンですねぇ。主人格の危機を排除するためなら何でもしちゃうクールな一面がある一方、琴子シナリオではひたすら主人公を煽りまくるイタズラお姉さん役をワザワザ引き受けるという二面性がツボ。

というわけで、ちょっと惜しいところはあるものの普通に楽しめる作品でした。

うたてめぐり 通常版

うたてめぐり 通常版