処女はお姉さまに恋してる 2人のエルダー 私の嫌いなお姉さま

おとボク2ラノベのアンソロ第二弾。前の巻とは著者が異なるためか、少々趣きが異なる。キャラクターいじりの傾向が高まり、やや原作の空気とは異なる仕上がりになっている。ごく端的に言えば、二次創作の短編のような感じ。といっても分量はコッチの方が多いので比較対象としてはやや不適当か。表紙は千早と薫子なので、基本的には二人が主役であるものの、原作キャラはほとんど何かしらの形で登場する。

アンソロ本としてはソレナリに優秀だと思うが、著者なりのアレンジつーかキャラ付けが少し鼻についた。ちと露骨過ぎといいますか。「逆転姉妹」の発想とか素晴らしいし文字だけで何とか表現するための工夫は評価ポイントなのだが、やはりこういうのは立ち絵が無いと構造的に苦しかったか。いやまぁ、何故か無駄に執拗な追い詰めをかけられて狼狽する史とか相変わらず全然ブレない香織理&陽向チームとか何をやっても和む初音&優雨ワールドとか読んでてかなり楽しめましたが。

とはいえこの本の本筋は一応千早と薫子であり。元々おとボクは男の子がお嬢様学校に居るという倒錯が根本にあるわけですが、そこんところをもうちょっと突き詰めたような気がします。一つ目のエピソードは千早が男性か疑われる話であり、もうその時点でかなり間違っているわけですが、落ちは更に酷い。遠まわしな千早いじめかと見せかけて、最後に爆発させられるのは薫子という。自爆の側面もあるんですが、ヤキモキした挙句に不憫な出来事が振ってくるという本当に残念なお姉さまな薫子さん。そこがカワイイといえばカワイイのですが。

そして例によって無駄にイラストレータが多く挿絵がたのしい。香織理さんのほっこりSDキャラは最高やでぇ。

処女はお姉さまに恋してる 2人のエルダー 私の嫌いなお姉さま (まるち文庫 4)

処女はお姉さまに恋してる 2人のエルダー 私の嫌いなお姉さま (まるち文庫 4)