キミキス-various heroines

1〜5巻で完結。

ギャルゲであるところのキミキスのコミカライズ版。各一巻ごとでほぼ一ヒロインのエピソードを網羅する形式になっている。巻末に小エピソードを挟む例外もあるにはあるが原則的には一巻一ヒロイン。こういうギャルゲのコミカライズするとき、主人公とヒロインとの一対多になる問題はどう処理するのかなと不思議だったんだが、サザエさん方式といいますか、原理は謎だけど無かったことにして進めるわけですね。一巻ごとに季節が少しずつ進んでいくわけですが、各巻の最初で主人公こと相原君が前の季節を振り返って「彼女ができなかった…次は頑張ろう」とつぶやくのが中々にシュールです。その直後に新しいヒロインとラブラブし始めるだけに。

このコミカライズ作品は何よりもヒロインたちの瑞々しい表現が一番の魅力です。それにつきましては著者の東雲太郎氏の功績に拠る所が大変に大きいというものでしょう。下記は4巻からの著者あとがきからの抜粋ですが、この奥ゆかしいコメントが多くを語っています。

僕のふるさとでは、パンツやおっぱい丸出しが普通...むしろ見せないのは失礼にあたるので時々不安になります。「あらやだ。そろそろ見せなくていいのかしら...」と。

キミキス 4―various heroines (ジェッツコミックス) あとがき より抜粋

著者のふるさとが辞書通りの出身地ではないことは火を見るより明らかではなく、アレコレ語ることは無粋というものでしょう。

そういうわけで直接的や過激な表現は一切無いクリーンで健全な青少年向けコンテンツなのですが、にもかかわらず絵の端々から言いようの無いパッションが滲み出してしまっている。どう頑張ってもタイトル通りにキスまでしか発生しないという縛りがあるんですが、なんかもう恐ろしいまでに心臓に来る描写が多くて驚くほかありません。著者がふるさとでは全力で放っているあれやこれやを一般向けにアレンジして絶技を振るうことがこんなにも破壊力を高いものを生み出してしまうとは恐ろしいばかりです。

キミキス 1―various heroines (ジェッツコミックス)

キミキス 1―various heroines (ジェッツコミックス)