ケモノガリ4

精神攻撃は基本。そんなわけで人類辞めてしまう寸前の主人公・ロウキ君の殺戮の日々は続いているわけですが、真正面からのタイマン殴り合いというか殺し合いがちょっと飽きてきましたよね、という機運が高まったからなのかなんなのか、ついにヒロインを人質に取るという古典的な絡め手が発動してしまう。ロウキのよりどころは比較的にシンプルでしてそれが彼の強みの源泉にもなっているみたいなんですが、そこをダイレクトに突かれた時にはこうなってしまうのですよと。非日常的なシーンを生き抜くためには、日常的な能力を捨てねばならぬ、というのは古典的な手法ではありますが、やはりそれだけに中々に物悲しいものがあります。

ケモノガリの魅力はそうした内面描写なんかのシリアスシーンもさることながら、狂気の殺人・化物設定も相変わらず魅力的なヘンテコなのが多数です。スマホで会話する器用なわんちゃん、おはようからおやすみまでを見守る超絶スマホ、バイクと銃はありがちですよねぇ等と高をくくっていたらまさかのモンハンチックな狩人の登場などなど。超人盛りだくさん。

ローマ大乱闘スマッシュブラザーズ編はこのまま続刊で継続のようで、本格的にこのシリーズは長編になっていく予感がいたします。クラブ側の組織としての諸事情も匂わせたりしながらローマが次第に血の海に沈んでいくのはほぼ確定事項といってよいでしょう。今回はアストライアは裏方役に徹しており、その微妙な苦労人気質に若干の苦笑い。船内をあっちこっち行って調整したり段取りしたりしてる風味なこの巻でしたが、殺人快楽提供するのも一苦労ですなぁ。

ケモノガリ4 (ガガガ文庫)

ケモノガリ4 (ガガガ文庫)