ブルーフレンド 1,2

1,2巻で1stシーズンが終了。今日現在3巻が出てますが2ndシーズンてことで、要は1,2巻で一つのお話が完結してますよ、てなことのようです。

読み始めの最初の方こそこれつれーわー美鈴さんやんでて痛ましいですわーと直視するのがキツイ、精神にダイレクトアタックが来る展開が続く。いやはやこんなシビアなもの良く描くものですわホント作者さんすごいですねぇ、ゆるふわなソフト百合をこよなく愛する俺としては胃から何かが逆流してきそうなのはちょっと御免被りたいと嘆きながらも、歩と美鈴のすれ違いながらも、お互いがお互いを必要とするやや危険な交流関係にステップアップするのをドキドキしながらなんのかんのと引き込まれてしまい、気が付けば読み終わっていました。

いやほんとこれ名作と名高いだけの理由はありまして。前半あれだけ心臓がきしむシーンの連続でありながら、後半はすごい勢いでハッピーエンドに爆走していくんですよね。結果としては、歩が孤独の海に溺れていた美鈴を釣り上げた形になるわけですが、その後美鈴はキッチリ埋もれていた芯の強い人格を発露するようになるんですよね。依存しきってしまえば楽でもあったろうに、それに甘えることなく一歩ずつ階段を踏みしめていくところはマジ感無量ですよ。気が付いてみれば、周囲はそれほど敵ばかりでもなかった、とふと気付くところとかホントもう言葉になりません。

歩への憧れであるとか恩返しであるとかが切欠かつ根源ではあったものの、いつしか自分自身を確立することが相手と自分の為になる、と感情が昇華されていくんですよね。このプロセスが本当に泣けてくるといいますか。ラストでは美鈴自身が別々の道へ行くことを選択するんですが、あれはちょっと驚いたけど彼女自身からすれば必然で自然な行為だったのですよねぇ。

最初の方こそ過去のトラウマから周囲を拒絶したり不安定な言動を見せる美鈴ですが、実はちゃんと一貫性があるんですよね。一貫性というか、態度の理由といったほうがいいのかもですが。二回読むとなるほどなーって感じなんですが、歩を守ろうと必死のあまり極端な言葉遣いになっちゃったりしてるんですよね。

また、他のサブキャラもこのシリーズ独特な雰囲気を作るのに重要な役割をしているのが見逃せない。ミステリアス系東さんは、要所で不気味に出現して意味深なセリフを残していくわけですが、彼女実は正直に本当のことしか喋ってないんですよね。言い回しこそ不穏なものの真実を端的にしか語らないことで勇者を導く賢者ポジションというのがなんとも心憎い。それと、ギャラリー界ことモブ女子のみなさんも、真に悪意があるわけでなく知らず分からずだから恐れている、という浮動票の描き方もしっかりしておりました。こういう主要キャラ以外の細かいところが奥行きでてるっぽいですね。

ブルーフレンド 1 (りぼんマスコットコミックス)

ブルーフレンド 1 (りぼんマスコットコミックス)

ブルーフレンド 2 (りぼんマスコットコミックス)

ブルーフレンド 2 (りぼんマスコットコミックス)