棺担ぎのクロ。~懐中旅話~ (1)

作者のきゆづきさとこ氏といえばGA −芸術科アートデザインクラス− まんがタイムきららでお馴染みである。あちらはアートを志す少女たちの物語なこともあり色彩豊かだが、こちらは一転して抑え目カラーのクラシックな趣きのある表紙になっている。ぶっちゃけ地味。GAではあれだけ華やかな女子高生の日常を描いてるので、まさかここまで暗めの絵柄に内容も重めのものを描かれるとは思っても見なかった。

主人公クロはそのほとんどが謎のままで一巻が終わる。街から街を転々と移り続ける旅の目的、喋る蝙蝠の格納庫以上のことは良くわからない棺、どうも常人とは構成が異なるらしい体を持っている……などなど。棺という不吉な象徴を背に負って運び続ける、というその姿そのものが死神を彷彿とさせる。

しかしそこはさすがにきゆづきさとこワールドと言うべきか。刹那的なエピソードと同時に要所においてはふんわりした要素を織り込むのが本当に上手い。不自然なくらいにやたらと旅人であるクロに人当たりよく接する街の人々、途中でパーティインするニジュク・サンジュも不穏な過去を過ごしてるっぽいけれども逆に天真爛漫に振舞うのが本当に眩しかったりとか。色を取ったり与えたり、というスキルはこの作者ならではでしょう。

棺担ぎのクロ。~懐中旅話~ (1) (まんがタイムKRコミックス)

棺担ぎのクロ。~懐中旅話~ (1) (まんがタイムKRコミックス)