エクゾスカル零 3
世のため人のため強大な力を持ったヒーローが悪と戦う。その構図はとてもわかりやすく明解であるが、世界が崩壊し守るべき民草が不意に消え失せてしまったとき、彼・彼女らの正義は一体何処へ向うのか。重苦しいテーマのあるこのシリーズ。強化外骨格の鎧を持つ者たちは何れもそれぞれに胸に秘めた思いがあり、そしてまた常人を越えた能力の持ち主でもある。背中にかばうべき人たちが消え失せた世界においてそのような超越者たちが激突するのはなんとも皮肉としか言いようの無い空しさがある。無論、その空虚感もまた本作の魅力ではあるのだけれども。
会いも変わらず冴え渡る重厚感のある鎧がある一方、それに負けず劣らずの存在感を放つのがしまぱんことヒロインの六花である。暗雲漂う不吉な世界観なのは変わらないのだけれど、彼女のムダに愛嬌のある仕草が良いスパイスになっている。そこでしまぱんをパンチラするのか、と良い意味で肩透かしを食らうとクスリとなるのであり、ただ延々と覚悟が鬱々とするのに比べると奇妙な読みやすさがある。六花の「二分後」のあまりにもあざとすぎる結果には微笑まざるを得なかった。山口貴由氏は、暴力的な死を描くのが上手な一方、彼女のような絶望的状況下においても活力を失わない生を描くのまた素晴らしい。
聖闘士星矢のドラゴン紫龍も真っ青な脱衣戦術を披露する覚悟、原子力決死隊を彷彿とさせる削岩カッターを巧みに操る六花など、バトル面も見所が多数。
ストーリー的には覚悟の記憶が果たしてどのような扱いになるかが気になるところです。
- 作者: 山口貴由
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2012/08/20
- メディア: コミック
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