小夜音はあくまで小悪魔です!?1

著者の東出祐一郎氏というのは、エロゲではあやかしびとBullet Butlers、最近のラノベではケモノガリでお馴染みなお馴染みの人である。銃と剣と刀と魔法と異能力が交錯して血潮吹き荒ぶ熱血でハードな物語に定評があるのですが、そうした赤黒いイメージとは一切無縁に見えるこの表紙は一体なんだと不思議に思わざるを得なかった。安易な路線に踏み込むとは今までの来歴からすとらしくないし、果たしてどのような代物なのだろうかと恐る恐る手に取ったことは否定できない。

いやでもしかし予想してしかるべきでしたよね。警備とか不穏当な単語を与えてしまえばこうなりますよねぇそりゃ。各種のブービートラップにより刻命館と化したマイホームにギリースーツとM1で武装したニートが誕生してしまうのは、やはり東出クオリティでありましょう。コミュ障ゆえすまなさそうに侵入者に銃を突きつけるとか、色々とひどすぎる。

一番の見所は主人公とヒロインの謎漫才でしょうか。エロゲというか東出氏の作品では日常茶飯事なことですが、片方がぶっとんだ言動してもう片方がいさめてオチをつけるか更にぶっとんだ発言をして収集がつかなくなったりとか、古来より伝統と格式のあるかけあいです。ソレナリに盛り上がってバトルしてラブコメしてなぜかくっついっちゃったりしてますがその辺りはお約束なものであって、本書の本質的な面白さな部分ではないと思いますが、時にシュールで時にややダークで皮肉の聞いたセリフの数々のユニークさをたのしむのが良いのかな、と思います。