Bullet Butlers〜虎は弾丸のごとく疾駆する〜

1-2巻で完結

元はエロゲであるBullet Butlersの外伝のようなラノベ。時系列は本編後なものの、このラノベでの舞台は別の場所で、登場人物もちょろっとお馴染みの面々が出るものの基本的には脇役であり主要な人物はこのラノベのシリーズ独自なものなので、ほぼ独立した物語といえる。エロゲの方は未プレイでもソレナリには読めるんじゃないでしょうか。ラストが必ずしも後味のスカッとする終わり方でないですが、設定上キレイに終わるには世界観と一体化したテロ屋を撲滅せねばならず、これは中々むつかしいのでこれは已む無しといったところか。ただまぁエロゲの方は比較的ズカンドカンハッピーエンドしてるので、そっちもよろしくね、という思惑なのだろうか。

そんなわけで弾丸執事の名を冠するからには、執事が弾丸をぶっぱしないと始まりません。リックはそのまんま銃使いでしたが、今回は自分が弾丸になってしまいました。この世界の執事はおしゃべりやとっさの切り返しなど社交スキルも要求されるのですが、アーネストはシャイすぎてビビる。いやまぁこれはこれでいいんじゃないでしょうかね。無口で愚直で性根はやさしくマジメだけど、自身の抱える暴力性をキチンと認識して行使するあたりとか格好いいじゃないですか。封印解除のキーワードが主人と執事の二人で一つというのも暑苦しくてよいです。

このラノベでの物語は、謎の原因により沈没した大型船、深海に潜むモノとは一体、というインディ・ジョーンズっぽい未知の開拓冒険ロマンテイストで始まる。深海1000mでどうやってアドベンチャーするのかなと疑問だったんですが、そこは魔法と例のアレによって解決している。おかげで深海だけど空中戦とかが成立させられるわけですな。1000m潜水の超絶潜水艦とか、魔法と科学の設定の融合により、部分的には現実世界を超える技術を結晶化させているんですが、こういうギミックの一つ一つが渋いのもまた弾丸執事の世界観の魅力です。

しかしながら、隔絶した強い力を得るにはそれ相応の理由を背負わねばならないというダークな一面もあるんですよね。アーネストは記憶喪失だけど希少なワータイガーのスキルは失っていなかったし、超兵器ガーゴイルを作中ではただ一人長時間操縦し続けられたりと八面六臂の活躍をして主人とその仲間を守護し続けるわけですが、それには暗い事情が隠されている。主人公だから強い、というわけにはいかないのですよね。このへんはどーしても読んでるとモヤッとするのだけれど、二面性は普遍的とでも言いたげな描写は味わい深いんですよね。ダークヒーローといいますか。敵の首魁にも悪魔に魂を売ってでも手に入れたい願いというものがあり、表面上はクズなんですが、願いそのものはピュアだったりするんですよねぇ。

Bullet Butlers〜虎は弾丸のごとく疾駆する〜(1) (ガガガ文庫 (ガひ1-1))

Bullet Butlers〜虎は弾丸のごとく疾駆する〜(1) (ガガガ文庫 (ガひ1-1))