サイハテの聖衣

このラノベでは冒頭で主人公が外泊証明ではないけれどさぁこの書類にサインするんだと差し出されたソレにホイホイ署名しちゃったところ傭兵部隊に投げ込まれてしまうところから始まる。中東の外人部隊に放り込まれちゃった航空機パイロットを彷彿とする流れですが、悲劇的なのは最初の数ページだけ。あとはのんべんだらりとした美少女による日常ダラダラとほんのちょっとだけ戦闘してみちゃったりなんかする物語で構成されている。

異形生物が日本に侵攻してきて本土を蝕まれ、その異形生物から採取した謎テクノロジー武装した美少女があざとし衣装とロマン武器で戦うという世界設定。これだけだと九州のあたりで学生が戦争するガンでパレードとか、世界を夢とか希望とかのお話で救わなければならないマヴでラブとか、そのあたりを連想しないこともないのだけれど、そんなシリアス要素はマッタクなく。戦況は下関まで押し込まれておりそこが日本のサイハテなのだという結構切迫してるものの、なんかヤバイじゃないんすか? というのはナシで、個性豊かな女の子四名が飛んだり跳ねたりウダウダしたり腕時計型麻酔銃で同僚を眠らせたりするだけの、百合プラス日常。

いやぁこういうのいいね、すばらしい。俺はこの著者の作品読むのタブン初めてなんだけど、刊行リスト見るとラノベがずらっと並んでる。この本読んでて、こなれてるなぁというのすごく感じたというか、ラノベの文法や暗黙的なお約束に忠実に作ってあってすごく読みやすい。ストーリーや描写の丁寧さが云々というより、テキトーに読んでもソレナリに気持ちよくなれるという方向性において、非常に良くできているラノベでした。

サイハテの聖衣(シュラウド) (電撃文庫)

サイハテの聖衣(シュラウド) (電撃文庫)