魔法戦争

全体的にモッサリというか散漫な描写が目立ちイマイチ物語にのめり込めない中途半端どまりのラノベといったところ。ぶっちゃけつまらなかった。

なんといっても厳しいのはタイトルに戦争とありながら、ド派手なシーンが皆無なところ。主人公やヒロインが敵と思しき方々と戦闘する場面はあるんだけど、今ひとつチマチマしており爽快感が無いのが苦しい。また、設定がゴテゴテしてるのはいいとしても、バトルシーンが妙にややこしいのが辛い。現実世界では魔法は使ってはいけなくて、でもそれは原則論で魔法で強化した肉体ならオッケーで、魔法世界ではリミッターがないおかげで廃墟になってて、現実世界で魔法で撃たれると死んだり魔法使いになっちゃったりするから気を付けてね、とかなんとかがグシャアーと書かれており途中から良くわからなくなりました。

個々の戦闘が良く出来てれば全体感のおかしさも許容できるものなのだけど。保健室を脱出するためだけになんかすごそうな魔法が使われたりして、いや展開としては合ってるけど地味過ぎである。このテのもののお約束として主人公は秘められていたっぽい何かに覚醒するわけですが、普通は敵をなぎ払うとまではいかないまでもズブリと殺っちゃう必殺技を期待するのが人情というものですが、回避魔法て。いやまぁ回避でも別にいいんだけど、ネーミングぐらい主人公らしくもうちょっとスマートなものが良かったなぁ……

主人公の家庭が不穏なニュアンスを含むものだったり、現実世界のヒロインもこれまた癖のある属性持ちでありと、読み手を微妙な心情にさせる方々である。ソレは別にキャラ作りの一巻として良いんだけど、こうしたバックグラウンドが何がしかの能力の背景になるとかボスキャラを倒すカギになったりするんだと思うけど、別にそんなことはなく。果たしてこの欝設定は何のためだったのだろうかと。もしかして二人の能力が逃避願望チックなものとして顕現するのはそのせいなのか?

魔法戦争 (MF文庫J)

魔法戦争 (MF文庫J)